ワンダーウォール(映画)の無料動画フル配信｜DVDレンタルよりオススメ

ちょっと憧れる学生寮。大人たちの言い分も、寮生の気持ちもわかります。そんな二つの抗議も争いも含めて歴史の一部となり、その瞬間っていうか時期の葛藤も含めて羨ましいと思えた作品です。

初めてこの作品に触れましたが、充分すぎるほどに良い作品でした。こんな素晴らしい作品があったんだと改めて邦画に感動しました。ドラマ版も観てみたいと思います。

男が布団に顔をうずめながら嗚咽まじりに何かを叫ぶ行動って、男の情けなさを表現する仕草として一番適切かもしれないですね。感情のぶつかり合いが素晴らしかったです。

実話ベースを68分という尺内に収めてくれていたので、凄く観やすかったですし、私にとってかなりガツンとくる好きな映画でした。

実在する大学の伝説的存在の伝統ある学生寮の存続を巡る、学生と大学当局との争いをモデルにしたフィクション作品。テーマから想像する観客のイメージを軽くいなすかのような「それでいいの？」的導入が憎らしいほど決まっていて、手練れの演出家の存在をビシビシと感じる。リアルと創作のキワキワを狙って掠めていく曲芸飛行的スタイルは百戦錬磨の実力がなければ、即座に激突して墜落するであろう危険性の高さ。吐しゃ物まみれでこたつ布団に転がり込む酔っぱらいのタイミングの良さと汚らしさ加減の素晴らしさが絶妙。寮住人たちの思惑のバラバラさの描写が「伝統」というお題目の不確かさを浮き彫りにしていて、保存運動そのものに身内側から揺さぶりをかけられてしまっているのがスリリング。大学当局の鉄壁のディフェンスと、結論ありきの態度は、本作のテーマにとどまらず、現在の日本政府にも通じるものを感じる。プライベートの無い混沌猥雑な生活空間は誰しもがなじめるものでは決してないが、そこから読み取れる様々な問題提起は観客一人一人の現実の生活に密接に関わるもので、他人事ではないと感じさせられる。物語の結末もまた、観客にゆだねられているスタイルなのも、それを考えて欲しいという製作者からのメッセージなのだろう。

NHKの単発ドラマに新たなシーンを加えて劇場版にしました。某国立大学当局から廃寮攻撃にさらされる自治寮の学生たちの話です。実際の寮を撮影に使ったわけではなく、それらしく作ったセットで撮影されています。壁の落書きなど学生寮の雰囲気をよく伝えていると思います。寮内では男女の寮生が生活しているわけですが、男子便所と女子便所の区別がなく開いている便器を使うというのに驚きましたが、ちゃんとした人ばかりならそれでも安全なはずで、新鮮な発想だと思いました。モデルとなった京都大学吉田寮の問題はまだ継続中です。この映画に出てくるような自治寮は学生運動の温床としてここ50年来攻撃にさらされ、だんだん減ってきたわけで、政府の文教政策にたてつくがごとき作品の出現はそれだけでも意義あるものと思います。でも、タイトルの意味を考えるといっそうこの作品が好ましく思えます。その壁（ウォール）は、大学学生部に作られた寮生を通せんぼするための壁のことかと思いましたが、実は寮生の部屋の中に積もり積もった壁のようです。その壁をちょいと取ってみるとさらに個性的な寮生あるいは寮そのものの伝統が見えてくる不思議の壁があることが映画の終わりにわかるはずです。

こういう雰囲気の映画を見たのは初めてでした。最初から、なにか、すーっと魅力を感じ、吸い込まれていくような気持ちにさせてくれました。私は大学にも行っておらず、そして寮にも入ったことがなく一人暮らしすらしたことがないので、寮に住む、寮が居心地がよいという実際の気持ちはわかりません。ですが、この映画を見ていると、近衛寮は、そこに住む人歴代がとても大切にしている場所だということを気付かされます。どんなに、古くても、雑魚寝のような暮らしなのに、みんな楽しそうで、この場所が好きなんだなと感じました。大学との争いは、大学側の言い分も分かる気もするし、複雑です。今は新しい校舎、新しいシステム、なんでも新しい物好きの人々が増えていると思いますが、ふと立ち止まった時、昔ながらの何かがあるって、とても心の拠り所ができる気がします。きっと近衛寮があるから、そこに住む人たちは、結束力があるのだと思います。個人個人の思いのぶつかりが見れ、大学生活は、こんな感じなんだろうなと想像させられます。力のない正義は無力っていう落書きが、私の中で心に残りました。いろいろな青春の考え方、社会性を考えるきっかけをくれる映画だと思いました。