愛しのアイリーン(映画)の無料動画フル配信｜DVDレンタルよりオススメ

20年以上前にスピリッツ（週刊誌）で連載されていた当時からずっと読んでいましたが、原作漫画を忠実に再現してくれてます。むしろ、原作を超える作品として20数年ぶりに蘇ったことに感動させられました。

鑑賞後に言い表せない感情になります。なんてものを見せられたんだろう…。誰も悪くないような気もするし…と、考えることが多い作品です。でも、ひとつ言えるのは見て良かった！という事だけは確かでした。

評価がわかれそうな作品ではありますが、「愛」をアンダーグラウンドから見た、個人的にとても良い作品だと思いました。

色々なテーマが絡んでくるので、映画を観終わるまで退屈する瞬間もないほど濃密な内容でした。これだけテーマを多く絡めているのに、後半の展開でしっかりと纏め描き切ったことが凄いです。製作サイドも勿論ですが、本作は特に役者さんたちが素晴らしかったと思います。

「愛しのアイリーン」は性的な描写が多いですが、最後の方は予想もつかないストーリー展開があり、面白い映画です。恋愛経験のない独身の男性がもつ劣等感や性的欲求、両親から感じるプレッシャーなどがひしひしと伝わってきて、女性が観るとちょっと引いてしまうこともあるかもしれませんが、そういう本能的な部分も包み隠さずに出している映画です。フィリピン女性、アイリーン役のナッツ・シトイが可愛らしく、純粋で憎めない感じでとても良かったです。そして、家族のために結婚する二人ですが、いろんな出来事を通して夫婦としての結びつきを強めていく過程には心が温まります。安田顕さん演じる、無表情でやる気のない岩男がだんだんと狂気じみた様子になっていったり、誰彼構わずに性的欲求を示していく姿には、人が危機的状況に陥ると誰しもがそうなるのではないかという恐怖を感じる映画でもありました。爽やかな映画ではありませんが、現実の世界を容赦なく出し、こういった現実の世界もあるのだなとシンプルに思える映画です。岩男という一人の男性とアイリーンという女性との関係を通して、貧困、晩婚、介護、育児など社会に溢れる問題について考えさせられる映画でもあります。

最初こそコメディのように思えていましたが、途中から衝撃的な出来事の連続で、理解するのに時間がかかりました。途中から目まぐるしい早さで物語が展開されるので、まるでジェットコースターに乗ってるかのようでした。ラストを迎えたときにはすでに呆然という感じでした。主人公岩男がなぜ独身のままなのか？謎でしたが、段々と彼がなぜ結婚できないのかわかってきたら、もう変態としか思えないダメ男ぶりに失笑がでました。対して母親のツルは鬼畜のような性格で、アイリーンが日本語がわからないのをいいことに、言いたいことを笑顔で嫌味ったらしく言うところが姑の性悪さをよく表しているなと感じました。しかしアイリーンも負けじと笑顔で返しているのをみて、こんなお嫁さん素敵だなと尊敬もしました。アイリーンは無邪気で天真爛漫のようですが、日本語をおぼえようとしたり家族想いな一面を見せ、表情もくるくる変わってとても魅力的に映りました。どうしようもないダメ男な岩男と鬼畜姑ツルに振り回されるだけ振り回されたアイリーンがとても不敏に思えるような流れでしたが、彼女がしっかり自分をもって生きている姿には強く心を動かされました。最後まで謎な終わり方でしたが、アイリーンにはその後幸せになってほしいと願うばかりです。

私は愛しのアイリーンを観て、3点の感情を抱きました。1点目は本当の幸せはなんなのかです。幸せはお金で買えるのか。私はお金で買えると思っていました。お金があれば好きなことをできるし、好きな人にも好きなことをさせてあげられる。しかし、本作品を見ていくに連れて、お金で買った幸せは素直な幸せではないと思いました。2点目は役者同士のぶつかり合いに驚愕しました。
安田顕さんとナッツ・シトイさんのぶつかり合いのシーンには役者としての魂を感じました。しかし、ぶつかり合いにがし過ぎて、どこか現実味が無い気もしましまた。3点目は安田顕さんの役者としての違った部分も見れたことが嬉しかったです。安田さんといえばドラマではコミカルの役を演じているイメージがしかありませんでした。また、バラエティーでもいじられキャラのイメージが強いため、安田さんが怒鳴るシーンは貴重だなと思って見てました。最後に本作品をみて、フィリピン人への意識が変わりました。私個人的にはフィリピン人は日本人をお金持ちの人間としかみていないと思ってました。しかし、フィリピン人でも1人の人間。国籍関係なく人をお金ではなく心で愛することができるのだと改めて気づかされました。

認知症を患っている父親と狩猟、農業を営む家族と暮らしている主人公、田舎の暮らしそのものだなぁと感じました。主人公の嫁取りを心配する母親。主人公の好きな相手がバツイチ子持ちで、同僚の女性を好きになるが、撃沈。車に、にはねられて「お○んこー」と叫ぶシーンは爆笑しました。フィリピンに嫁取りツアーに参加してなし崩しに結婚相手を決めてしまうが、田舎在住の嫁取りは重大なのですね。亡くなった父の葬儀で嫁に拳銃を向ける母親。ベッドで婚後、夜の営みに及ぶ、嫁に嫌がられ電子レンジで主人公の頭部を殴打。主人公の「お○こ」にかける情熱に参った。ふと思ったのだが、今もフィリピンにはスラム街は存在するのだろうか。お見合いツアーも。今、話題の伊勢谷友介が出演している。結婚も売春も同じという伊勢谷。そうなんだろうか。結婚という名でその国を食いものにする。少しずつ主人公に心を許していく妻、ヤクザが妻を拉致しようと画策を試みるが、主人公に殺されてしまう。警察に出頭するのかと思ったら違った。徐々に追い詰まってゆく主人公とその家族。、主人公の狂気じみた性欲が展開されている。このまま妻はフィリピンに帰るのだろうか。東北の雪深いシーンで終わるラスト・シーンが美しかった。気丈な母親が姥捨てを願った心中を興味深く拝見した。