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ヒトリシズカ(ドラマ)の内容

ドラマ『ヒトリシズカ』は、2012年10月にWOWOWの連続ドラマで放送されました。

原作は、『ストロベリーナイト』の著者でもある誉田 哲也さんになります。本作は全6編の短編から構成されており、各短編のタイトルがドラマのタイトルにもなっております。

監督は、同じくWOWOWの連続ドラマにて放送された、窪田正孝さん主演の『ヒトヤノトゲ〜獄の棘〜』の平山 秀幸さんです。

ドラマ『ヒトリシズカ』は、5つの殺人事件の背後に見え隠れする、ひとりの少女の幻影…。警察を翻弄する彼女の正体、そして目的は一体何なのか？を追求していくミステリードラマとなっており、主演の伊東 静加役を夏帆さんが演じております。

舞台となる地域や登場人物の役職設定については、原作とは若干異なっておりますが、原作に遜色なく仕上がっております。また、本作は第39回放送文化基金賞テレビドラマ番組賞を受賞するなど、各方面からも評価が高い作品となっております。

だめな親のもとに生まれるとまともな人生を送るのは難しい。文句なく面白いし引き込まれる、見て損のない作品です。

1話ずつのストーリー構成で、毎回別の事件、別の視点でストーリーが展開していく感じが良かったです。

シズカは、なぜあの時、あのような行動をとったのか？どう考えていたのか？など、細かな映像表現がないぶん、想像力を掻き立てられます。シズカを演じた夏帆さんの演技が素晴らしく、すごく良かったです。

内容的に楽しいものではなく、また面白いというのも、やや抵抗があります。しかし、一気見てしまいました。適切な褒め言葉が見つからないですが、この作品の製作に関わった役者さんや、スタッフさんは素晴らしいと思います。

不思議感が全編に漂っており、観ている人を惹きつける作品です。見始めた人は、次が気になって最終話まで一気に見てしまうという声が多かった気がします。

また、6話完結なので比較的見やすいというのも高評価の1つかもしれませんね。

あらすじ

第一話：闇一重（やみひとえ）

1996年3月。東京・国分寺市の住宅街のアパートで暴力団員が射殺される事件が発生。現場近くに勤務する巡査部長の木崎（高橋 一生）が銃声を聞いて駆けつけると、先輩の大村（村上 淳）がすでに現場に入っていました。

聞き込みや鑑識の結果から容疑者が逮捕され、事件は解決したかのように思われました。しかし、司法解剖を担当した法医学者から死因となった銃創について疑問があると連絡が入り、木崎は独自に捜査を始めます。

やがて事件の背後にひとりの少女の影が浮かび上がります…。

第二話：蛍蜘蛛（ほたるぐも）

1996年6月。東京・足立区で工員の男が刺殺される事件が発生。被害者の交友関係から、容疑者らしき男が割り出されるが、男は関与を否定します。

そんな中、生活安全課の山岸（新井 浩文）も、応援で殺人事件の捜査に加わる事になりました。

捜査線上に「澤田梢」という人物が上がっきました。山岸は単独で捜査をすすめるうちに、彼女は実在しない人物で、謎の少女にたどりつきます…。

第三話：腐屍蝶（ふしちょう）

1996年8月。元警察官の探偵・青木（長塚 圭史）が調査していた少女と思われる腐乱死体が山中で発見されます。

遺体の身元に疑問を抱いた青木がさらに調査を進めると、遺体は別人の可能性が高いことが判明します。

一方で、暴力団・天洲会麻布の南原（池田 成志）の妻と名乗る女性から夫の浮気調査調査の依頼が舞い込みます。並行して調査しておりましたが、なんと依頼人が南原の妻とは別人だと分かり困惑します。そんな時、本当の依頼人を名乗る若い女から連絡が入ります…。

第四話：死舞盃（しまいさかずき）

1996年8月。暴力団・天洲会麻布の南原の邸宅で、銃撃戦が発生し、5人が死亡、重体が3人出ました。

警視庁捜査四課の鮎川（松重 豊）と所轄の刑事・矢部（温水 洋一）はコンビを組み、捜査に当たります。
事件の生存者である、敵対する組合員から事情聴取を行ない、事件を仕組んだのはアキという若い女だとの証言を得ました。そして、捜査を進めるうちに、アキは別の事件にも関与している疑いが浮上します…。

第五話：罪時雨（つみしぐれ）

1989年3月。東京・八王子市。防犯課の課長代理・伊東（岸部 一徳）は、行きつけの床屋の店主から姪・深雪（黒沢 あすか）が同棲している男から暴力を受けていると相談されます。

深雪には小学生のひとり娘・静加がいました。伊東が深雪親子を気にかける中、深雪のアパートで男が刺殺される事件が発生します。

やがて男の交友関係から容疑者だと思われる男が捜査線上に浮上。男を重要参考人として聴取するが、証拠不十分で事件は迷宮入りします…。

第六話：独静加（ひとりしずか）

1997年5月。東京・台東区のアパート・春菜荘の管理人タツ（緑 魔子）は、突如現われた姉妹に部屋を貸し、次第に交流を深めます。

ある日、姉妹を追う謎の男たちが現われ、銃が乱射される中、姉妹はアパートから姿を消します。

時は経ち2012年、春菜荘で白骨遺体が発見され、捜査に当たった刑事・藤岡（二階堂 智）は遺体の身元を特定するが、この遺体の戸籍を不正に使用していた女がいる事が判明します。さらに捜査を進めると衝撃の事実が…。

見どころ

初の“悪女”に挑戦！

報知映画賞新人賞を獲得した映画『天然コケッコー』など、これまで清純な役柄が多かった夏帆さん。本作がデビュー以来初めての“悪女”に挑戦しております。

しかも、原作の誉田さんが「僕の小説の中で最も難解なヒロイン」と評したミステリアスな女性なので、難しい役どころではありますが、とても初挑戦とは思えないほどの演技で悪女を演じておりました。

毎回別人みたいで、さらに冷めている演技…完全に引き込まれます。

スタッフ

原作：誉田哲也
監督：平山秀幸
脚本：青島武

キャスト

全話共通

伊東 静加：夏帆
謎の女。

伊東 深雪：黒沢 あすか
静加の母。

伊東 孝俊：岸部 一徳
静加の義父。

第一話

木崎 信吾：高橋 一生
国分寺署地域課　巡査部長。

大村 和己：村上 淳
木崎の先輩。

青木 久則：長塚 圭史
元警察官の私立探偵。

第二話

山岸 潤哉：新井 浩文
足立署生活安全課の防犯係。

青木 久則：長塚 圭史
元警察官の私立探偵。

第三話

鮎川 五郎：松重 豊
警視庁捜査四課。

矢部 充：温水 洋一
西麻布署刑事課。

南原 義男：池田 成志
天洲会麻布代表

青木 久則：長塚 圭史
元警察官の私立探偵。

第四話

鮎川 五郎：松重 豊
警視庁捜査四課。

矢部 充：温水 洋一
西麻布署刑事課。

南原 義男：池田 成志
天洲会麻布代表

第五話

大村 和己：村上淳
木崎の先輩。

南原 義男：池田 成志
天洲会麻布代表

第六話

藤岡 巧：二階堂 智
入谷署刑事組織犯罪対策課主任。

浜西 タツ：緑 魔子
春菜荘大家。

ヒトリシズカ(ドラマ)の感想

30代女性

1人の少女の一生を見る不思議な世界観のある話でした。毎話人が亡くなりますが、そこにはいつも静加という少女の影が見え隠れしています。ときには警察、探偵が彼女の存在に気付き動きますが、結局証拠は掴めないまま逃げられてしまいます。犯人が彼女なのはすぐに分かるのですが、彼女はなんのために人を殺し、なんのために生きているのか、不思議な魅力に囚われながら最終話まであっという間に見終わってしまいます。夏帆さんが主演なのですが、幅広い年齢の役をこなされていて、台詞は少ないのに存在感がすごく、素晴らしい女優さんなんだなと再認識しました。また毎話、豪華な出演者も登場します。1話限りの方も多いですが、その話の中でそれぞれの個性を存分に発揮されているので、是非注目して見ていただきたいです。物語中盤から彼女の生い立ちが分かり、彼女の闇について少し理解ができるようになります。生まれ育った環境のせいで、心をなくしてしまう子どもも多いのかなと考えさせられる展開もありました。最後の方、少し希望が見えてきた中でのラストシーンは衝撃です。すっきりしない切ないような悲しいような話でしたが、彼女の人生を知ることができて良かったと感じるドラマでした。

40代女性

救いようのない暗いお話です。一度罪を犯したら、そしてそれをきちんと償わないままであったら嘘に嘘を重ねての生活をしていくしかありません。そうしてほころびが出るたびに犯罪を犯して逃げていってと、どんどん転落していくのです。様々な犯罪があって、その犯人を当てる物語かと思いきや静加がやったことはすぐに明らかになってしまいます。それよりもどうやってそんな犯行を成し遂げたのか・その理由は何かやどういったことから逮捕に至ったのかが主となる展開は、その昔見ていた刑事コロンボを思い出されました。犯人として追い詰められていく姿に我がことのようにドキドキしていたあのドラマ、でもヒトリシズカの方は信じられる人はいないのか・救ってくれる相手は見つからないのかと同情の気持ちばかりが起こります。性善説を信じるわけでもありませんが、誰か手を差し伸べてくれる相手がいれば人はどの段階でも気持ちを正すことは出来るはずです。過去を無かったことにするのは難しくとも悔いることは出来る、30代の若さで死んでしまうまで駆け抜けていった彼女が哀れでしょうがありません。ヒトリシズカというお花のこと気になりました。きっと美しくも寂しく咲き誇っているはずです。

50代女性

２０１２年にWOWOWで初めて観たときは、主演の夏帆（静加）のクールで非情な感じに驚きました。それまで、私の中には彼女の情報があまりなくて、２００５年のドラマ「女王の教室」で志田未来の姉役をやった頃の、笑顔が可愛いさわやかなイメージのまま止まっていたので、今回の役柄はインパクトありすぎでした。そして、脇を固める俳優陣がとにかく凄いです。岸部一徳（静加の義父）、黒沢あすか（静加の母）、村上淳（巡査）、高橋一生（巡査）、長塚圭史（私立探偵）、新井浩文（警察官）、池田成志（ヤクザ）、緑魔子（大家）、門脇麦（成長した澪）など超演技派の俳優さんばかりで、よく集めたものだと感動しました。物語は一応時系列で進んでいくのですが、前半は主人公の静加の出番が少なくて彼女の内面があまり描かれないので、このまま１話完結で毎回違うゲストが主人公のドラマで、サイコパス的な静加がそれぞれの事件に関わっている感じで終わるのだろうかと思っていたら、後半になると静加の行動が中心になり彼女の人間らしい部分が徐々に見えてきて、あらゆる点と点がつながっていきます。そして、静加がサイコパスなどではなく、どれほど愛情深い女性だったかが最後の最後に分かります。ただのミステリーではありません。観る価値十分です。

まとめ

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