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ラブストーリー・ラブコメ

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光(映画)の内容

映画『光』は、2017年5月に公開されました。

本作の監督はこれまでにカンヌ国際映画祭にて、デビュー作『萌の朱雀』で新人監督賞、『殯の森』で監督賞のグランプリを獲得するなど、世界から注目を集めている河瀬 直美さんです。

河瀬監督の『光』は、視力を失いゆくカメラマンと、彼と出会い自らの何かが変わりゆくヒロインの珠玉のラブストーリーとなっております。

主役のカメラマンを演じたのは、河瀬監督の映画『あん』に出演した永瀬 正敏さん、ヒロイン役を水崎 綾女さんが演じております。演者さんの徹底した役作りと、熱演は観る者を引きつけて離しません。

また、本作は第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、エキュメニュカル審査員賞を受賞しました。日本人女性監督としては、初の受賞となり、大変話題になった作品です!

 

綾女さんは他の作品とは別人みたいに存在感を発揮していましたし、永瀬さんは趣味の領域を超えるほど写真家としても活躍しているしと、まさにハマり役でした。主演の二人がとても際立っていて、芝居の密度や存在感がすごかったです。

視覚障害者と向き合う重いテーマでしたが、「魅せる」映画を創り上げてくれてます。惹きこまれる、さすが河瀬監督といった感じです。人生の中で折りをみて見直したくなる映画です。

音声ガイドというもの自体を初めて知りました。もちろん、みた事ないし考えすらしなかったですが、本作を通じてこういう職業もあるんだと知れて良かったです。凄い仕事だなと感心しました。

河瀬監督の作品はわりと観てきましたが、特に“あん”以降が好きすぎてこれからも楽しみです。“光”も良かった。最後に主人公が映画にあてた言葉がピッタリすぎて、胸が熱くなりました。

本作の序盤のシーンである視覚障害者との意見交換の場は、さながら実話であるかのような空気感を出し、目が離せませんでした。河瀬監督は音声ガイド・障害や老いという枠組みを超えて、世界全体を貫く普遍的なテーマさえ描いているように感じてしまいます。

また、映像の美しさの魅力が凄いとの声が多く、本作でも監督のこだわりを感じられます。

あらすじ

何事もない単調な日々を過ごしていた美佐子(水崎 綾女)は、音声ガイドのライターの仕事をしていました。音声ガイドとは視覚障害者のために登場人物の動作や情景を言葉で伝えるものです。

その仕事をきっかけに、弱視の天才カメラマン・雅哉(永瀬 正敏)と出逢いました。彼は、美佐子の仕事に対して「情報量が多すぎる。主観が入りすぎている」と的確な指摘をしました。

美佐子は雅哉の不愛想な態度に苛立ちながらも、彼が昔撮った夕日の写真に感動し、いつかその場所に連れてって欲しいと思うようになりました。

そして、視力を失っていく雅哉の葛藤を見ているうちに、美佐子の中で何かが変わり始めます。

見どころ

挑発的なタイトル

カンヌ国際映画祭が開催されるフランスにとって、映画とは文化そのものという誇りがあります。映画を発明したのはフランス人のリュミエール兄弟であり、そのリュミエールとは“光”を意味し、“映画=光”となっています。そう、フランス人にとって”光”とはエキサイティングなタイトルなのです。

今回の作品で、光を失いつつあるカメラマンの雅哉は、光が見れない視覚障害の別の光として音声ガイドを手掛ける美佐子と出会います。そして、映画という“光”に導かれた2人は衝突しあいながらも、映画(光)で心の共有をゆっくりと通わせていきます。

挑発的ながらも、タイトルである“光”と“カンヌへの思い”をしっかりと表現した河瀨監督。カンヌ国際映画祭で観る審査員をはじめ、観客の心に“光”の温もりを与えることができ、第70回カンヌ国際映画祭において、最高賞のパルム・ドールの受賞は逃したものの、エキュメニカル審査員賞を受賞いたしました。

スタッフ

監督・脚本:河瀨 直美
製作:澤田 正道 / 武部 由実子

キャスト

中森 雅哉:永瀬 正敏
音声ガイドのモニターの一人。一流の天才カメラマンでしたが、視力弱者となり、自暴自棄な毎日を過ごす。

尾崎 美佐子:美崎 綾女
音声ガイドの原稿を書くライターの仕事をしている。指摘されたを改善する努力家。

 

光(映画)の感想

30代女性
30代女性

気付くと、ふと胸の奥をギュッと掴まれていた作品です。河瀬組とも言えるベテランキャスト陣と、河瀬ワールドといった独特なドキュメンタリーのようなテンションの作品です。とにかく、俳優陣のセリフのボリュームがとても静かだったり、音の使い方(自然の音)、光源の加減など、至って淡々と物語が進んでいきます。永瀬正敏がさすがの貫禄で、何かを背負っている役がとってもハマります。単純な感動ストーリーというよりは、やがて失明してしまう”眼(視力)”が命だった才能溢れる弱視のカメラマンの孤独、失望、苛立ち、絶望、そして希望を描いています。冒頭は、これから人生のガイドになるかもしれない?映画の音声ガイドの仕事をしている水崎綾女の淡々としてつまらない生活から始まります。実際のガイドを決定するためのテスト試写会(視聴会)に参加する一人が永瀬正敏です。水崎綾女の押しつけがましいガイドや、健常者からの視点での物言いなど、第三者の私でもイラっとしてしまうくらい上手です(笑)こういう若者(一括りにするつもりはないです!)いるな~と。お互いに対して嫌悪を抱き、意識し始めるところから既にお互いの人生に足を踏み入れているのでしょうね。次第に惹かれあいます。命より大切なカメラを捕られた時、電車内で最後の希望だった僅かな視力も完全に失った時、歩道橋の下り階段の手前で恐怖で足が出ない時、ズシンときました。私がこの映画に興味を持ったのは、父親が同じく50代で視力が低下し、弱視→失明を経験しており、少しでも当事者の気持ちが分かるかなと思ったのがきっかけですが、大いに感じることができました。この作品の素晴らしいところは、『こうでなきゃいけない』という押しつけがないところです。やや単調なテンポですが、飽きることなく物語に引き込まれました。出会えてよかった。

40代女性
40代女性

この作品をきっかけに、初めて音声ガイドという職業を知りました。普段何気なく目にすることはあっても、耳が聞こえる私にとって必要のないものでしたが、映画の世界観をこわさずに情景や動作を伝えるガイドは難しく、映像を見ずに音声ガイドを聞きながらの映画は、私にどんな世界を見せてくれるのだろうと興味がわきました。想像では、小説を読んでいるような感じではないかと思うけど、それに音楽や俳優さんの声が重なりなんだがわくわくしそうです。映画に音声ガイドをつけてモニターさんに見てもらうシーンはドキュメンタリーのようで、モニターさんの厳しい言葉にこの職業の難しさがよくわかりました。あとで映画の舞台挨拶でモニターさんに見てもらうシーンは『実際に視覚障害者の方に参加して頂き、アドリブだった』と永瀬正敏さんが言われており、なお感動しました。ラブストーリーだと思うんだけど、私には音声ガイドをつけて映画を作ることの大変さと、視力を徐々に失っていく写真家の不安と恐怖と葛藤を見事に永瀬正敏さんが演じられてて、胸が苦しくなる映画でした。そしてラストの樹木希林さんの音声ガイド、実際の音声ガイドで俳優さんがやっているかは知りませんが、樹木希林さんの声がすごくいい。映画館だったら泣いていたと思います。

40代女性
40代女性

この作品の何が素晴らしいかと言ったら、一番は主演の永瀬正敏さんの演技ではないでしょうか。少しずつ視力を失っていくカメラマン・雅哉役なのですが、弱視のためにつまづいてしまったり必死に文字を読もうとする姿など、身体的な特徴を捉えた演技が非常に巧みです。しかしそれを凌駕しているのは、精神面での表現です。抗えない現実に苛立ち、気力を失っていく雅哉を全身全霊で演じていると感じました。またディスクライバーの美佐子と出会い、反発し合いながらも互いに惹かれていく細かな心の動きも、画面からはみ出すくらいに伝わってきました。河瀨監督が2作連続で永瀬さんを主要キャストとして迎えたことに、非常に納得をしたものです。映画のストーリーでは、ディスクライバーの業務がこれほどまに繊細で難しいということを知らなかったので、一映画ファンとして非常に勉強になりました。一つの作品を作り上げるのに、多くの裏方が汗水を流し、精神をすり減らすまでの努力をしているのです。今作によって、映画を観られることの喜びを実感しました。河瀨監督らしい自然の神々しさを感じる映像と、様々な視点からとらえた”光”というテーマが折り重なって、派手な演出は全く無いのに、とてもまばゆい作品に感じられました。

30代女性
30代女性

音声ガイドのモニター会で一人の女性が主人公の尾崎美佐子に映画を観てどう感じたかと尋ねるシーンで言っていた「映画を観ている時にもっと大きな世界を見て感じている」「その映画の中に入っている感じ」というセリフが印象に残りました。視覚障害のある人が目で見ているよりも深く映画の世界を理解しその中に入っているような感覚を想像したら、少し羨ましいような気持ちにもなりました。この感覚は自分の中には無かったので、新しいことを気づかせてくれた素晴らしいセリフだなと思いました。永瀬正敏さん演じる中森雅哉が公園でこども達を撮影するシーンで、こども達の声や周りの音が大きく聞こえるように演出されていて、中森の感じている世界を少しだけ覗くことができた気がしました。映画全体で音をとても丁寧に扱っていて監督のこの映画に対する思いも感じられました。ラストシーンでは視覚障害者用の映画の音声ガイドの言葉の美しさを堪能でき感動しました。音楽も美しくて想像をより膨らませてくれました。映画の音声ガイド役が樹木希林さんで温かい声がとても素敵でした。視覚障害のある人がどのように映画を楽しんでいるのかを共有できるとっても素晴らしい映画です。

 

50代女性
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永瀬正敏さんが、弱視でやがて視力を完全に失ってしまう天才カメラマンの、中森雅哉をさすがの演技力で見事に演じていて素晴らしかったと思いました。水崎綾女さんが視覚障害者で、音声ガイドの仕事をしている美佐子を自然体で熱演していて、とても良かったと思いました。天才カメラマンの中森と出会ったことによって人間として変化していく様子を上手く演じていたと思いました。この映画では、障害や老いることなどの枠組みを越えて、世界の普遍的なテーマを描いているように感じました。テレビでは、副音声があるのは知っていましたが、映画にも「音声ガイド」というものがあることを初めて知りました。視覚を使わずに認識する世界というのは、どのようなものなのだろうと考えさせられました。全体的に何とも言えない不思議な透明感がある作品だと思いました。永瀬正敏さんが、視界がゼロになってしまった時の表情にドキっとしてしまいました。今まで見えていたものが、見えなくなる恐怖というのはどんなものだろうと想像すると、とても怖くなりました。カメラマンという仕事をしていて、見るということが一番大事な職業であると思いますが、それゆえに見えなくなっていく恐怖感というのはほんとに大きいのだろうと思いました。

50代男性
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河瀬直美監督は、「萌の朱雀」や「殯の森」など、いろいろと失うことをテーマに映画を撮ることの多い監督ですが、本作ではカメラマンの雅哉(永瀬正敏)が、失明していくところを映画にしています。カメラマンですから、失明すると仕事も失い、さらに日常生活も大変不便になるので、とても受け入れがたいことですが、その過程を淡々と映画化しています。そこで映画用の音声ガイドを作っている美佐子(水崎綾女)と出会います。何かの事故ですぐに失明するのではなく、弱視になり、それが進行してゆく話なので、目が見えなくなることの大変さがとても伝わる映画になっています。だんだん目が見えなくなっていくということがどういうことなのかが、それがどのように本人に体験されるのかがとても分かりやすく描写されています。永瀬正敏さんは、「あん」に次いで2回目の河瀬直美監督の映画への出演ですが、前回とても俳優としての永瀬正敏さんにほれ込んだので、今回も出てもらったとのことです。河瀬直美監督はなにかと失うことに関しての映画を作りますが、やはり本人が小さいころに母方の伯母さんに養女として引き取られて育ったという成育歴が大きいのでしょう。重いテーマの映画が多いですが、フランスなど海外で好評なので、そのような映画を作り続けられているとのことです。

 

まとめ

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