アルプススタンドのはしの方(映画)の配信無料動画フル｜DVDレンタル/Dailymotion/Pandora/Miomio/9tsuよりオススメ

若いっていいなって思える青春全開映画でありながら、背中を押してくれるような映画にもなっていて、頑張れる力を貰えました。

凄く綺麗にまとめてあり素晴らしい作品になってました。同じ気持ちを持っていただける方は是非、元となった舞台を観て欲しいです。本当に一般の高校生たちがやるからこその良さもあるので。高校演劇の傑作です。

アルプススタンドのはしの方で、野球に興味が持てない数人の高校生たちが話している。それだけの映画なのに、僕が涙を流したのはアルプススタンドのはしの方に座っているタイプの人間だったからかもしれません。
そんな彼らがひとつの試合で、信じることで必ず何かが生まれる。自分が報われなくても、誰かに勇気や夢、繋がりを生み出すことが出来る。という、信じることの美しさを教えてくれました。

原作が賞を取ったらしい演劇脚本ということもあり、状況設定の秀逸さだったり、台詞の言葉選びに感心する部分が多かったです。

この映画は青春映画なんですが、物語の切り取り方が特殊な感じがします。普通は題材となる人物を中心に恋愛や部活などを取り上げていくのですが、高校野球で甲子園に出たことはこの物語の中心ではありません。アルプススタンドの目立たない所で応援している人物たちを描いています。人は何かしらの挫折をしている事が多く、それが尾を引いて生きている人間が数多くいます。目の前では快挙を成し遂げた野球部員が強豪校と戦っているわけで、自分は一体何をしているのか。嫉妬や絶望感などが心を駆け巡って、複雑な気持ちになる人も多いと思います。ただ目の前の仲間が頑張っている姿を自分に置き換えて希望に変えようとする姿は、ものすごく共感できます。人間はこれができたら次に進もうとか、自分で決めている基準があると思います。彼らも一緒で彼らの成功を自分に置き換えている感じがしました。そうすると心がこもっていなかった応援も、中身が変わってくるのです。この辺は彼らの成長というか前向きな感じが出て好きな場面です。何かうまくいかなかったりした時に、心を押してもらえる存在を見つけて次に繋げていくのは大事だと思いました。話が進んでいくシーンは一部分に集約されているのに、すごい広がりを感じる不思議な映画です。

この映画の登場人物は、普通なら物語の主役になるような存在じゃない。でも、だからこそ、この映画には価値がある。少年漫画のヒーローやアスリートが輝いている世の中で、努力を積み重ねることができなかったやつがいる。「しょうがない」「あいつがおかしいんだよ」そうやって自分を納得させて、でもそれがみっともないって自覚していて、そんなダサい自分がどうしようもなくつらい。声援を受け取る側とそうでない側。アルプススタンドを隔てて、どうしようもなく見せつけられたその差。その真実。これを無理やり見せつけられる悲しさと言ったら・・・。この主人公たちのように、自分が光り輝く側ではなかった人は案外多いんじゃないだろうか。もちろん、そうじゃないって人も多いだろうけど。少なくとも僕は「この人にはかなわない」って存在を何度も見てきた。その度に、こっそり傷ついて、でも傷なんかなかったかのように、誤魔化して。誰もそんなに僕のことなんか気にしていなかっただろうに。光り輝いている人は、こともなげにこう言う。「やればいい話じゃん」「努力なんかして当たり前だろ？」などなど・・・。絶対的に彼らは正しい。結果も出てる。僕はそんな刺のような言葉たちを静かに受け入れるしかない。気まずそうにうなずくしかない。そんな青春だった。だからこそ、この映画には深く心を動かされる。野球の様子も映されることがない、画面変化の少ないミュートで見たらさぞ退屈であろう会話劇に、ここまで激しく揺さぶられるとは。

野球の球場という限られた場所で展開する高校生のドラマという極めて特徴のある映画です。普通は野球の試合そのものが映画の主軸に据えられるのが通例ですが、この映画では試合を通じて皆の気持ちが一つになる様子を描いている所にポイントがあると考えます。球場のスタンドで応援する4名の女性が主軸になり映画が進んでいきますが、それぞれが最初は微妙な関係にありお互いの心の中に壁を作り打ち解けあう事ができない様子がうまく描かれています。球場の応援席で応援していた演劇部員の安田あすはと田宮ひかるは田宮のインフルエンザで大事な大会への出場を断念せざるを得ない状況が発生したせいか、どこかしら、遠慮がちな微妙な関係にある様子を若い二人がうまく演じています。また野球部の投手である園田に好意を寄せている宮下は極めて成績優秀だが吹奏楽部の久住に成績トップの座を奪われたばかりか久住が園田と付き合っている事を知ってしまいショックを受けてしまいます。試合ですがいつも補欠で地味な人物の活躍で劣勢の試合展開から意外な追い上げを見せます。自分たちの高校が追い上げを見せたことで今までお互いが心の壁をつくり人間関係が円滑に進んでいなかった4人の女子高生がどんどんひとつになっていく過程が見どころになります。