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トニー滝谷(映画)の内容

映画『トニー滝谷』は、2005年1月に公開されました。

本作は、“ハルキスト”と呼ばれる熱狂的なファンがいることでも有名な小説家・村上春樹さんによる短編小説を原作に、数多くの女優を見出し育て、新たな魅力を引き出すことに長けていた市川準監督によって製作されました。

物語は、常に孤独だった男性・トニーの姿を通して、最愛の人を失う切なさと人を愛する喜びを映し出しており、主人公でありタイトルにもなっているトニー滝谷役をイッセー尾形さん。彼が愛した女性を宮沢りえさんが演じました。

また、市川準監督とイッセー尾形さんは、村上春樹さんの大ファンであり、彼の作品を手掛けることが夢だったそうです。結果、強いリスペクトとこだわりを感じる一作に仕上がりました。

あらすじ

トロンボーン奏者である滝谷省三郎（イッセー尾形）と日本人女性の間に生まれたトニー（イッセー尾形 / 二役）。トニーの生後わずか3日で母親は亡くなりました。そんな孤独な幼少期を送ったトニーは美大で芸術を学びます。

数年後、トニーはデザイン会社へと就職し、そしてイラストレーターとして独立して自宅のアトリエで仕事をこなすようになりました。そんな彼の家に様々な出版社の編集部員が出入りします。その一人、小沼英子（宮沢りえ）と出会ったことにより、トニーの人生の孤独の期間は終了します。

彼女に恋をし結婚。幸せな新婚生活が始まりましたが、1つだけ気になることがあります。それは、妻があまりにも多くの服を買いすぎることでした…。

見どころ

坂本龍一の音楽

本作の音楽を担当したのは、日本が世界に誇る音楽家の坂本龍一さん。

全編を通じて耳に流れてきたアコースティックギターとピアノのどれも至ってシンプルな音色。特にメインテーマとなるピアノ曲は短調で悲しさと切なさが重なったメロディーではあるが、優しく鍵盤に想いを込めるような弾き方をしている印象を受けました。

感情的になりすぎることなく、トニー滝谷の満たされない心情が表現されるなど素晴らしい音となっております。

興味深い撮影手法

撮影手法も見事。余計なものを極力省かれた簡素なものであり、全体的にモノトーンの映像にすることで、より一層登場人物の心理描写を際立たせております。

また、1つの部屋から次の部屋へ移動するかのような、横方向に平行移動していく撮影方法によって、次に何が待ち受けているのか？という期待と不安を誘う、非常に興味深い手法も印象的なので、注目してみてください。

納得の作品

村上春樹さんは知っていますが、個人的に初めての鑑賞作品となります。

見る方によって様々な受け取り方だったり、解釈の余地を残している点に感銘を受け“ハルキスト”と呼ばれるコアなファンが沢山おられるのも納得しました。

原作をはじめ、別の作品にも触れてみたいと思える内容だったので、村上春樹さんを知るきっかけとして観ていただくのも良いかもしれません。

スタッフ

原作：村上春樹「トニー滝谷」
監督・脚本：市川準
撮影：広川泰士
美術：市田喜一
音楽：坂本龍一
照明：中須岳士
録音：橋本泰夫
編集：三條知生

キャスト

トニー滝谷：イッセー尾形（二役）
美大を卒業後、デザイン会社を経てイラストレーターとして独立する。

滝谷省三郎：イッセー尾形（二役）
トニー滝谷の父親。ジャズトロンボーン奏者としてある程度の成功を収めた人物。

A子（小沼英子）：宮沢りえ（二役）
出版社編集部員であり、トニーが恋をし結婚をした女性。

B子（斉藤久子）：宮沢りえ（二役）
A子（小沼英子）に良く似た女性。

トニー少年：篠原孝文

絵画教室の先生：四方堂亘

B子の母：水木薫

A子の元恋人：草野徹

女子学生：小山田サユリ

アルバイトの青年：山本浩司

アパートの管理人：木野花

家政婦：谷田川さほ

レストランのバイト：塩谷恵子 / 猫田直

B子の妹：藤真美穂 / 山崎彩央

スーパーの客：塩山みさこ

ナレーション：西島秀俊

トニー滝谷(映画)の感想

まとめ