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ツマとムコさんという呼び方が、近すぎず遠すぎずのちょうど良い二人の関係性を表しているなと。また、全体を通じて、ムコさんの描いた小説の話なのではないかとも思いました。

ドンッとくる大きな展開ではなく、ツマとムコさんの暮らしや気持ちが大事にされている感じがあったのが好きです。
ツマには精神的な弱さが感じられたのですが、女性特有の共感する部分もあり良く表現されているなと思いました。

二人の空気感が理想的であり、全てをひっくるめてその人を大事に思えるって素敵だな。私も色々なことに寛容でやわらかい人間になりたいです。

月が明るい空で、虫の鳴き声が聞こえる外。夜になると目を覚ますソテツ、かやの中で手を繋いで眠る夜。作品の世界観が凄く良い。
また、ソテツの声を演じた大杉さんの優しい声がピッタリで本当に良かったです。

映画『きいろゾウ』は、売れない小説家のムコと、ツマの物語。二人は田舎で、自然と共に暮らしています。二人の周りにいるのは、認知症の老人や不登校の子供など。一般的には『弱者』として社会の隅に追いやられてしまうような人達です。でも、ムコとツマは、その『弱者』達を特別な人として見るのではなく、ごく普通に友人として付き合い、そしてその人達と何でもない日常を過ごしています。植物や動物の声が聞こえるというツマもまた社会的には『弱者』なのかもしれませんね。登場人物は皆、田舎くさくて、セリフもキレイじゃない。野菜ばかりの質素な食事。田舎のおじいちゃんが住んでいるような、不便そうな家。整えられていない、商業用に作られていない、映えない。そんなこの映画の世界は、非常に美しいものでした。だからこそ、ツマの精神的な弱さや、不安、ムコの背中の入れ墨、隠し事が際立って、苦しくなりました。静かにすれ違う二人。どうして面と向かって話せないのか。不安だからか。話したら、別れる事になってしまうと思ったのか。でも、不器用ながらも、道を見つけようとして、もがく二人から目が離せなくなりました。周りの人たちも、とても魅力的でした。認知症でも、歳を取っていても、不登校でも、みんな同じく生きている。みんなでそうやって差別なく一緒に生きていけたら素敵だな。なんて、考えさせられてしまいました。

原作は読んでいないが、心が傷ついているときに見るとじんわり癒やされる映画でした。過去の傷を抱える２人が、田舎でのんびりと過ごすうちに互いの心の中を深く知っていき、ゆっくりと強く結ばれる物語です。ツマが絵本を読んで周囲の動植物の声が聞こえるようになるなど、少し不思議な設定もありつつ、向井理と宮崎あおいがとにかくかわいいです。かわいいままで終わればいいのに少しきついシーンもあったり、なぜかタトゥー入ってるのが少し違和感でした。映画を見終わった後にもひくくらいに、印象的でした。傷を傷で埋めているようであっても、最終的に２人が結ばれ直されてよかったです。映像美は文句なしです。動物や植物がたくさんでてきて、きれいで元福でした。宮崎あおいの演技が光る作品でもあると感じました。天真爛漫な前半のキャラクターを後半では一気に精神的にしんどくなっていく様を表現していました。さすが、大河ドラマにも出演した大女優だなといった感じです。全体的に淡々と進む映画ですが、しっとりと考えさせられる映画でもありました。日記だけで夫婦の会話を成立させているシーンも印象的ですよ。なかなかまねできませんが、そんな形もあるんだなと思いました。

田舎町で慎ましく暮らしている若い夫婦が実に微笑ましく、ほっこりさせられる映画だな、と物語の前半は思いました。自然を求めて都会から田舎に引っ越す人が増えていると、ニュースなどでたびたび取り上げられているので、その状況と映画がリンクして、穏やかな感じで最初は観ていました。ちょっと変わっていると点といえば、ヒロインの「ツマ」こと妻利愛子が動物や植物と話ができることくらい。そのような個性的な部分も夫である「ムコ」こと無辜歩が温かく受け入れていたので、とても理想的な夫婦像に映りました。二人の出会いも自分が憧れるような神秘的なもので、同じ匂いを持つ者が一瞬で惹かれあう様子が美しく描かれていて、出会うべき者同士が出会ったラブストーリーだと思いました。後半、1通の手紙がムコの元に届いたことがキッカケで二人の関係がギクシャクし、ここまで語られていなかった過去の秘密が明らかになっていくのですが、そのときに見えたツマの感情の激しさとムコの静かで強い意志が、ものすごく印象深く心に残っています。察しのいいツマが、ムコに来た手紙が女性絡みだと感づいて心を閉ざしながらも、夫が離れていくかもしれない不安とそれでも信じたい気持ちの葛藤を、ムコの書いている日記を通して祈っている様子が胸に沁みました。また、ツマが日記を読んでいることに気づいたムコも、いつか向き合わなければいけないと思っていた過去にカタをつけ、改めてツマの元に戻りたいという決意がクライマックスで現れていて感動しました。過去を乗り越え前を向くことで本当の意味でお互いを思い合えるようになった夫婦の姿を、少し神秘的な世界観の物語の中で観ることができ、とても温かく勇気づけられるような気がしました。

向井理さんと宮崎あおいさんの夫婦が、田舎でのんびり暮らしているのかと思いきや、それぞれに心の中で思うことが色々あり、奥が深い映画だなあと思いました。都会的な印象がある向井理さんでしたが、この映画で見せた田舎で暮らす姿もとてもよく合っていてよかったです。宮崎あおいさんの表情は秀逸で、どこか悲しげだったリ、どこか不満がある表情だったり、伝わる演技だなあと思いました。また、浜田光臣さんや本田望結さんが幼い頃の姿が見られて、とても可愛かったです。今は亡き大杉漣さんのソテツの優しい声は、包み込むような雰囲気があり、心が温かくなるようでした。宮崎あおいさん演じるツマが、植物やヤギの声が聞こえたりするところが、最初はとても驚きましたが、自然の声が途中から楽しくなってきました。ムコさんが抱える過去も乗り越えるためには、とても長い時間が必要で、それでも過去と向き合い乗り越えた感じがよかったです。かけがえのない人は、すぐ傍にいてくれてこそ、大切にしなければいけないものだなあと感じました。不思議なシーンも時々あるのですが、それもこの映画を理解する上で必要なシーンだったと思いました。ムコさんも、自分をしっかり取り戻して、吹っ切れたような笑顔がとてもよかったです。

原作は西加奈子の小説ですが、当時の私はそのことを知らず、映画を先に観ました。宮崎あおいが好きで、映画のポスターも魅力的だったので、ぜひ観たくなり、映画館で観ました。ポスターヴィジュアルを見てイメージしていた通りの世界観でした。映画を見終わった後は、思わず、書店で原作の単行本を買い、勢いよく読み切り、西加奈子という作家が大好きになるきっかけになりました。物語は、田舎の畑や野山に囲まれた古民家を舞台にゆったりと進みます。その平和な雰囲気もこの作品の好きなところの一つ。宮崎あおい演じるツマは動物や植物などの声が聞こえるという不思議な特技のある女性ですが、とても愛らしく演じられています。感受性が高い故に苦しむこともたくさんあり、時には子供の様にふるまうこともあります。このツマという半分子供のような女性は、宮崎あおいだからこそ魅力的に演じられたのだと強く思います。和やかな毎日の中に、ちょっとした事件が起きて、向井理演じるムコさんとの関係がどうなってしまうのか、途中から急にドキリとした展開になります。物語が穏やかに進んでいた分、ムコさんの抱えている重荷、ツマの苦しみが強調されます。また、キャストをよく見ると面白いのですが、ムコさんとツマのご近所さんのアレチさんを演じるのが柄本明、ツマと会話するコソク（にわとり）、カンユさん（犬）をそれぞれ、柄本佑、安藤サクラ、とファミリーで出演しているところです。そのほかの声だけの出演も大杉漣、高良健吾など非常に豪華です。出演者は少ないですが、それゆえ、登場人物の心の動きが浮き彫りになってそれぞれの人物に引き込まれる演出になっています。見終わった後には、田舎の、何もない場所にある古民家で丁寧な暮らしがしてみたくなります。

きいろいゾウは不思議な感覚の映画です。植物や動物の声が聞こえるというのがポイントになっているのですが、これも２人の関係性がどうなるかで変わってしまうのが面白いです。結婚した夫婦がそれより以前に何にもなかったということはほとんどの場合、あり得ない事です。家族や友人や恋人などと楽しかったり辛かった思い出が、いっぱいあるのが普通です。そして全てを相手に伝えていない場合も多いでしょう。それはずっと秘密として心の中にしまっておくか、どうしてもしまっておけなくてなんらかの方法で気持ちを吐き出すかここがポイントになってきます。最初に羨ましいなと感じたのは動物や植物と話せる事で全くひとりではないということです。気持ちを伝える事が出来るというのは自分もひとりで寂しい時にすごく感じたので、本当に憧れる能力です。でも旦那の秘密を知ってしまい、ギクシャクして変なコミュニケーション方法になってしまう部分は切ないです。うまくいかない恋愛が次のステップにいくには、感情をぶつける事が第一歩でその後どうなるかはお互いの気持ちの強さだと思いました。後半に旦那が大切な存在だと知ることになる大きな出来事があります。夫婦がうまくいくのか最後までハラハラするのがいいです。

映画『きいろいゾウ』は、何も知らずに夫婦になったムコ(向井理)とツマ(宮崎あおい)が、田舎で幸せな生活を送りながら、お互いの知らない部分を見つけ乗り越えていくというヒューマンストーリーでした。映画全体としては、ほのぼのとした雰囲気が流れていますが、お互いの知らなかった秘密に直面する度に、ギクシャクとした雰囲気が流れます。特に印象的なのは、ムコには忘れられない人がいると悟ったツマが、台所でムコの手をグラスやお皿で強く殴り続けるシーンです。そのシーンを見た最初の印象としては訳が分からなかったのですが、映画全体を見た後に思い返すと、ツマなりの感情のぶつけ方だったのかもしれないと思いました。一方ムコは、自分の忘れられない人と向き合うために東京に会いに行き、自分の中で区切りを付けます。一時期ムコの日記を通してでしか会話が出来なくなってしまったムコとツマの2人でしたが、ムコがけじめを付けたことで、お互いにしっかり話し聞き、向き合うことを決めます。この映画の中では、他人の気持ちを理解することの難しさが幾度となく描かれており、人によって己の気持ちを伝える方法が異なるのだと知ることが出来ました。そして、お互いに気持ちを理解し合おうと努力することが夫婦の幸せに繋がるのだと、ムコとツマを見ていて思いました。

映画『きいろいゾウ』を観て、「固い絆で結ばれたムコとツマ」と「二人が抱える秘密」が特に魅力的だと思いました。まず、固い絆で結ばれたムコとツマについてです。このドラマでは、田舎町で暮らし始めたムコとツマの様子が描かれます。ムコとツマは恋人同士で、お互いのことを尊重し合いながら過ごしています。ささやかなやり取りや何も話していない時の雰囲気から、二人が相手に心を許していて大切な存在だと思っていることが感じられて、穏やかで幸せそうな二人の姿に癒されながら観ていました。次に、二人が抱える秘密についてです。幸せな日々を過ごしていた二人でしたが、実は相手に打ち明けていない大きな秘密を抱えていました。その秘密が明らかになっていく中で、二人は相手の持つ予想外の一面を知り、混乱し、ぶつかり合っていきます。秘密によって二人の距離が遠くなっていくところに、やりきれなさとどうしようもない悲しみを感じながら観ていました。また、お互いの感情をぶつけ合いながらも、表情や言葉一つ一つから二人が愛情を持ち続けていることも痛いほど伝わってきて、困難を乗り越えて再び幸せな日々を取り戻してほしいと願わずにはいられませんでした。