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父と暮せば(映画)の内容

映画『父と暮せば』は、2004年7月に公開されました。

井上ひさしさんによる演劇作品の戯曲であり同名小説を原作に、日本映画界の巨匠・黒木和雄監督が映画化しました。

物語は、原爆から生き延びた娘と、被害に遭い幽霊となった父親のふたりの交流を暖かく描いており、娘の美津江役を宮沢りえさん。幽霊の父・竹造役を原田芳雄さん。そして、美津江に恋をする青年・木下役を浅野忠信さんが演じました。

あらすじ

1948年（昭和23年）の広島。

雷鳴が響く中で、仕事から帰って来た美津江（宮沢りえ）のもとに、父の竹造（原田芳雄）が現れます。すると、竹造は美津江の務める図書館の利用者・木下（浅野忠）との仲はどうなっているのかを聞きだしたいのですが、美津江は人並の幸せを手に入れる権利はないと固く断じていました。

美津江は、3年前の原爆によって愛する者たちを一瞬の閃光で失ったのです。その一人の中に父・竹造も含まれておりました。自分だけが生き残ってしまったという罪悪感から、負い目を感じ続けるでした。

そこへ、幻となって現れた竹造が、美津江の日々の話し相手として彼女を楽しませ、ときに諭し、助言を与えます。さらに、恋の応援団長を買ってでることを宣言します。

ある日、木下から故郷の岩手に一緒に行こうと誘われたと竹造に告げます。竹造は結婚の申込であり、ぜひ行くべきだと言いますが、美津江はまたも逃げようとします…。

そして、父と娘の最後の会話が始まる…。

見どころ

まず率直な感想として「もう少し、あともう少しこのまま見ていたい。」そう思った映画でした。

あらすじにある通り、木下役で浅野忠信さんは出演するものの、基本的には福吉親子を演じた宮沢りえさんと原田芳雄さんの二人がメインとなります。しかし、父は娘が生み出した幻であるため、本質は一人芝居と言えます。

そんな宮沢りえさんによる美津江ですが、幸薄そうな、それでいて芯の強そうなスクリーン外の実人生とも相まって納得度の高いキャスティングになっていました。

また、原田芳雄さんとの親子が死に別れる再現シーンに関しては、映画史に残る傑作。映画作品なので、回想という手法を使えばより観客に伝わりやすいですが、敢えて舞台劇そのままに。二人の演技で再現されています。

娘を想う父の気持ちが胸に迫り、過去も未来も変わらない子を想う愛情がそこにはありました。父に励まされ、幸せを乗り越え、未来に目を向けるまでの4日間の物語。

「あぁ、本当に良い映画を観たな」と思えるはずでしょう。

スタッフ

原作：井上ひさし「父と暮せば」
監督：黒木和雄
脚本：黒木和雄 / 池田眞也
音楽：松村禎三
編集：奥原好幸

キャスト

福吉美津江：宮沢りえ
原爆被害から生き残れた女性。心の奥では生き残ってしまったことへの罪悪感を抱き、自らが幸せになる権利などないと思い込んでいる。

福吉 竹造：原田芳雄
原爆を受けて死亡するも、幻となり娘・美津江の前に現れる。時に楽しませ、諭し、助言を与える。

木下 正：浅野忠信
原爆の資料を集めるため、図書館に通う青年。そこで働く美津江に恋をする。

父と暮せば(映画)の感想

まとめ