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誰も責めることが出来ず、凄く切ない物語ですが、冒頭の伏線を終盤で拾う所で鳥肌がたちました。原作も読んでみたいと思える一作でした。

ドラマ版がとても印象的で中々見る気がおきず、ようやく鑑賞しました。ドラマ版より本作の方が原作により近いなと思いましたし、映画版は映画版の良さがあり、とても良かったです。

現実にあることなんだろうな、と思いつつ目を背けたくなるような子供時代のお話が未来につながっていて。心が苦しくなりながらも見るべき作品の一つです。

残酷でひたすらダークな2時間半。こんな奥行きのあるサスペンスを作り出す東野圭吾さんの頭の中が図り知れないです。

東野圭吾さんの作品が原作の映画で、原作ファンも納得のキャスティングと出来栄えだと思います。主演の堀北真希が演じているのが人並外れた美貌の持ち主である雪穂で、彼女は幼児期に事件に巻き込まれます。そしてその後1人の少年が影となり、他人を不幸に陥れてながら底辺からのし上っていく様子を描いています。私が原作で最も好きだった登場人物である桐原亮司を演じていたのが高良健吾さん、2人の対比が見事だったし本当に絵になる2人だと言えます。ストーリーは残酷で、人の心の闇の部分を見事に表現していると感じましたし、堀北さんは透明感があり無表情な役がとても合っていると思いました。特にラスト30分が見せ場で、事件の真相が明るみになるシーンは、その重さに原作で結末を知っていても込み上げてくるモノがありました。2人に幸せになって欲しいと願えば願う程、現実に打ちのめされます。高良健吾さんは実はこの作品を見るまであまり知らなかったのですが、ナチュラルな演技をする人だという認識を持ちました。テレビドラマ化もされましたが、私は映画化の方のキャスティングの方が好きだし、この配役でドラマもして欲しかったなとその点は残念だと言えます。

映画の内容からしてヘビーなものなので、がっつりと人間ドラマの世界に入り浸りたい方にはぜひともおすすめです。全体的に暗いトーンで物語が進んでいきます。それによって、役者さんの演技がぶつかり合い、見る者を圧倒させます。主演の役者さんはもちろん、その脇を固める役者さんも重苦しい雰囲気を重厚感として切り取り、鬱々とした展開ながらも飽きることなく楽しむことができます。原作同様に息苦しい場面がいくつも出てくるのですが、その場面が見どころにもなっております。物語としては、共感できにくい部分もありながらも、もしかしたらありえるかもしれない、と考えさせられる物語になっています。愛する者に尽くすこと。その尽くし方、尽くされる方の考え方。愛情とはなんなのか。そういった人の根本的な感情の芯の部分を揺さぶってくる内容となっていて、それを考えながら見るとより楽しんで見ることが出来ると思います。答えが出ない問題ですが、この映画は登場人物がしっかり自分の軸を持った行動をとるので、鬼気迫るものを感じ、それがまたひきつけられます。映画は原作に忠実なので読んだことがある方は納得でき、見たことない人も原作の世界観のまま楽しむことが出来ます。

清純なイメージの堀北真希さんが悪役を演じているという話を聞いて、テレビで視聴しました。日ごろから俳優さんのいろいろな演技が見たいと思っている私は、堀北さんのギャップのあるお芝居を期待していました。確かに堀北さんが演じる雪穂は悪女になっていましたが、これはやはり大人が全部悪いというヤツなので、悪役と言ってもとても切ない話なのでした。小さい子を性的欲望の対象にするという人が一定数いるということも暗い気持ちにさせますが、雪穂と亮司が体験したことは小さい子にとっては受け止めきれない出来事だったろうなと、フィクションだと知っていても胸がつまりました。あれほどひどい記憶があると脳の一部が壊れてしまうのかもしれないとも思いました。堀北さんの静かなお芝居がよけいそう思わせたようにも思います。高良さんの亮司もまた壊れた心のまま大人になったようで、その最期はつらかったです。船越英一郎さん演じる刑事さんもそのことをよく知っていて助けたかったので、本当にこの映画は見た後もつらい気持ちが残ってしんどい映画のひとつになりました。でも小さい子への性犯罪者も結局は病気のひとつだと思うので、そういう人たちを救う何かが登場すべきだとも思いました。でないとこうした事件は本当に起こるかもしれません。

ラスト，全ての罪を被って死んだ高良健吾さんに人知れず微笑みかけ、成功の階段を上っていくと思われる堀北真希さんの姿が印象に残ります。果たして彼女はその後本当の幸せを掴めるのでしょうか。複雑な思いになります。映画の前半は、同じ児童施設に通う少年少女が何故悪事に手を染めた行ったのかが映し出されます。社会派作家東野圭吾さんの原作ですので、少女売春などの問題が出てきます。とにかく身勝手な大人の欲望で子供たちが心を痛めていく過程が描かれています。演じた子役たちがいい演技をしているので、つらい気持ちにながらも見入ってしまいます。成人してからの主人公を演じた堀北さんと高良さんも難しい役ながら熱演しています。過去を振り切り、罪を犯し続けてでも社会で成功を得ていこうとする様子は、綺麗ごとでは済まされない世の中の非情さを表しています。ただ、高良さんが自分の欲望のためではなく、堀北さんへの秘めた愛の表現として犯罪を犯していくところは、わずかながら救われた気持ちになります。ミステリーとしては、何の接点もなさそうだった二人がかつて一緒にいたことが判明する場面が良かったです。刑事役の船越英一郎さんが「風と共に去りぬ」のポスターを見て叫ぶシーンは見所です。実社会でも、少女に対する性犯罪と被害者の復帰の難しさが報道されている中、このような問題をこの作品を見て自分なりに考えてみるのもいいのではないでしょうか。

この映画を観た時に「ああ、雪穂だ」と思った。それほど、堀北真希は私の「雪穂」のイメージにピッタリだった。いや、ピッタリなどという安直な言葉ではとてもいい表せない。もはや雪穂そのものであり、彼女以外の雪穂のイメージが私にはわいてこない。なんといったらいいのだろう。他の女優には絶対に表現できない、底知れぬ闇を彼女は表現することができるのだ。もしかすると、それは演技なのではないのかも、彼女自身の過去に追った心の絆のではないのかと邪推してしまうほど、その「闇」は彼女を完全な「雪穂」にさせていた。高良健吾も良かった。彼にも独特の「暗さ」みたいなものが存在しており、堀北と絶妙な化学反応を起こして、二人だけが生み出すことのできる物悲しくもせつなくて、やりきれない「白夜行」の世界を作り上げていた。残念な点を上げるとすれば、堀北があまりにも完璧な「雪穂」であるがゆえに、雪穂の子供時代を演じた子役の明るさが不自然に見えてしまったことと、刑事役の船越英一郎が、二時間ドラマを連想させて現実に引き戻してしまうことくらいかもしれない。人間の欲望や身勝手さが引き金となった事件から、生み出される美しくもせつなすぎる「悪」を、この映画でたっぷりと堪能してほしい。