コズミック フロント☆NEXTの見逃し無料動画配信と再放送情報7/2東京プラネタリウム｜Youtube/Dailymotion/Pandora/Miomio/9tsuよりオススメ

繁栄を謳歌するかのごとく人口の光が満ち溢れる現代の大都会、東京。しかしそれと反比例して東京の夜空には全くと言っていいほど星の輝きがありません。その昔、東京が江戸と呼ばれた頃はどうだったのでしょうか。浮世絵からそれを解き明かすという視点が面白いと思いました。電気がなかった当時の江戸の夜は真っ暗で、逆にそれがために星の存在が目立ったのですね。そしてそのことが逆に江戸の庶民の生活に潤いをもたらし、その風習風俗が浮世絵やお寺や神社に今での伝わり残っていることを、番組は上手く説明してくれています。夜空の星といえば天の川。天の川といえば織姫・彦星の七夕です。このロマンティックな星空の物語を、現代の高校生カップルの淡い恋を重ねて綴られるストーリーはなかなか秀逸です。多感な青春時代の一場面で、高校生の男の子が謂われのない虚無感を感じてしまうのは私も経験したことです。そしてふと知り合った謎めいた見知らぬ女性に、淡い恋心を持ってしまうことも実感して理解できました。そんな男の子に密かに心を寄せる女の子の切ない心根にも、年甲斐もなく久々に胸がキュンとしてしまいました。女の子の前向きで明るい姿勢と言動が、物語を軽くて清々しいものにしています。それは正に甘酸っぱいという言葉がぴったり当て嵌まる青春の１ページです。自分にも何十年も前にはこんな時代もあったなと、昔のアルバムをめくっているような、とてもほのぼのとした気持ちで観ることができました。

前情報なしに見始めたが、予想以上に良かった。プラネタリウムが好きな方にはもちろん、少しでも「星空っていいよね」と思っている方にはぜひおすすめしたい。ただ、タイトルがプラネタリウムとなっているものの、はじめは「どこがプラネタリウム？」と思うかもしれない。星座に関する説明は途中に少し触れる程度で、どちらかというと浮世絵の紹介がメインとなっているからだ。しかし、ドラマ仕立てで主人公と一緒に浮世絵を見ているうちに、自分自身もいつのまにか江戸時代の星空に思いをはせていた。浮世絵は、有名な作品というよりは「まだ空が暗かった江戸時代の人々が、満天の星空と共生していた様子」をテーマに集めていて、これが変わった視点で面白かった。葛飾北斎の娘である葛飾応為の「夜桜美人図」は、闇に浮かび上がる光がとても美しい。光の色や影の暗さまで描き分けていて、テレビの画面越しでも奥行きを感じた。浮世絵の紹介とともに、時おり挿入される和歌や音楽も効果的。そして、なんといっても語りの松岡禎丞さんが素晴らしかった。落ち着いたトーンで優しく語りかけてくれて、星空を見ながら良いお話を聞くなんてまるでプラネタリウムのようだ・・・と思ったら、それでタイトルが「東京プラネタリウム」なのか、と最後に大変納得した。映像もきれいなので、好きなお茶でも飲みながらゆっくりと東京プラネタリウムを楽しんでみてはどうだろうか。

「あなたは東京で満天の星を見たことがあるだろうか」　そんな問いかけで始まる「東京星物語」。150年前頃まで東京（江戸）ではごく普通に星空を見ることができた。その証拠として星空を描いた多くの日本画（浮世絵）が紹介される。星を描いた絵画と言えば、西洋画ではゴッホの『星月夜』などが知られているが、星を描いた日本画がこんなにもあったのかと驚かされる。同時に紹介されている短歌（和歌）も味わい深い。さらに関連した日本画の紹介とともに江戸の星にまつわる習俗にも触れられている。しかし、教科書のような説明ばかりでは飽きてしまうところだが、七夕の切ない恋物語に重ね合わせたかのような現代高校生の淡いラブストーリーが挟み込まれていて、二人のユーモラスな会話や掛け合いに笑みがこぼれてくる。視聴者を離さない工夫もさすがである。このストーリーは東京の「パワースポット」ならぬ「スタースポット」の紹介も兼ねていて、実際に訪ねてみたくなってくる。『コズミック　フロント☆NEXT』はブラックホールや小惑星探査機「はやぶさ」など、宇宙や天文に関するコアな話題を扱う場合が多いが、今回はかなり趣が異なる。科学嫌いでも安心して見ることができると思う。タイトルに「プラネタリウム」とあるが、ありがちなプラネタリウムで昔の星空を再現した番組ではないことも付け加えておきたい。この点だけはちょっと誤解を受けそうで残念に思った。いまの東京の繁華街では深夜になっても星空を見ることはできない。それでも晴れていればそこに星空は確かにあるのだ。光があふれた東京の街中にいても、そっと夜空を見上げ、星に願いをかけてみたくなってくるにちがいない。