ロマンス(映画)の無料動画フル配信｜DVDレンタルよりオススメ

役者さんが個性豊かでいいですね。どこか懐かしい風景の中で展開するドラマ。定期的に観たくなる映画です。

鉢子という名前にまずはノックアウトされました。どういった想いを込めて名付けたのでしょう。そんな変な名前のキーホルダーがあるところがすごいです。サスペンスドラマとかでその地域の名所旧跡が無理やりのように出てくる作品はたまに見かけますが、こちらでは無理なく出てきます。何しろその昔に観光で訪れたであろう場所を巡っていく旅なのですから、そういったところばかりなのも当然です。子供の頃のことをそんなにも覚えているかどうかは疑問ですが、観光気分をこちらも楽しめました。全くの赤の他人だったはずの大島優子・大倉孝二コンビですが自然体な感じでいいです。もしかしたら実は母親の今の恋人で本当の父親となるのかもと、変な勘繰りをしてしまいましたが違っていました。お菓子を万引きするようなしみったれたおやじというのはいけませんが、言葉の掛け合いとかいい感じです。でも普通はこんな男についていったら危険でしょう。犯罪に巻き込まれてしまう可能性大です。まるで自殺するかのような手紙を残しながら、普通に旅に出ている彼女の母親がたくましくも憎めません。こんなだから彼女も悪い奴に育たなかったのかもしれないです。ただ男性選びは親子そろってへたくそのようです。

どちらかと言うと”ワクワク”や、”のんびり”を想像させるロマンスカーや箱根の街。タイトルからしても一見ほのぼのとしたストーリーが描かれていると思いきや、人生や生活に行き詰った人々の悲しみが綴られていました。主人公の鉢子は意気揚々とロマンスカーのアテンダントとして働いているのに、箱根は彼女にとって切ない思いがいっぱいなわけで…（涙）。僅かな幸せにだったにしろ、辛い出来事だったにしろ、鉢子が幼少時代のことを回想する度に、その生い立ちが気の毒すぎてこちらまで胸がつぶれるようでした。かたや、ひょんなことで鉢子と出会った桜庭もまた重大な事実を抱えていて、決してハッピーな気持ちでロマンスカーに乗ったのではないのだと知ると、心苦しくなりました。だけど人生のどん底や悶々としている時に、出会うつもりもなかった誰かと知り合って、少しだけ気持ちを共有し合う機会を得るだなんて、なんと素敵な出来事かと思います。置かれた状況は何も変わらないけど、一時でも暗い現実を分かち合えた2人がちょっと羨ましくも思えました。今作をはじめタナダユキ監督の作品は、女性が変に華美されるのではなく、リアルな姿で描かれていると感じます。だからこそ鉢子ら女性の言動がストンと腑に落ちるし、多くの人々に共感を生み出すのではないでしょうか。人生に迷っている時に鑑賞すると、ちょっとだけ前向きになれるかもしれませんね。

大島優子主演の作品。「人生は上手くいかないなぁ」や「なんで自分だけこんなに不幸なんだろう」と一人で悩んでいる人にとって、「人生は捨てたもんじゃない」「同じ境遇の人って実はたくさんいるのかもしれない」と一歩歩みだすのに少し背中を押してくれるような心温まるストーリー。二人の主人公の出会いが意外で、かつ年代や見た目も全く不釣り合いな二人が徐々に心が通っていく奇想天外な展開が非常に面白く、最初は違和感しかなかったが、物語の中盤から終盤にかけては、不釣り合いだからこそ逆にリアリティが感じられ「あるある」「そうそう」と自分の人生や日常に重ねて見てしまうほど。助演の大倉孝二演じる男性の言葉や行動が非常に胡散臭いのであるが、これまたいつの間にか引き込まれてしまい、相手に寄り添う方法って色々あるのだなと考えさせられる。そして、最大の注目ポイントは大島優子の演技力。わざとらしくないリアリティを追求した演技が好印象だった。とくにセリフがない時の表情が印象的で、見る人にその時の主人公の気持ちをあえて想像させるような、そんな表情がたくさんあり見事だった。100分以内という長くはない作品であるため、最近何か嫌なことがあった人、ちょっとした自己嫌悪に陥ってしまっている人が少し気分を変えたいときやちょっとほっこりしたいというときにぜひおすすめの作品である。